ダウン症という個性をようやく受け止めようとしていた矢先、検査のたびに新しい言葉が私の手帳に書き込まれていきました。
「大動脈縮窄症(だいどうみゃくしゅくさくしょう)」
「心室中隔欠損(しんしつちゅうかくけっそん)」
「肺高血圧(はいこうけつあつ)」
聞いたこともない、漢字ばかりの長い名前。
先生が説明してくれる言葉は、まるで外国の言葉を聴いているようで、頭の中をすり抜けていきました。
一つ、病名を受け止めたと思ったら、また次。
「この子の体の中で、一体何が起きているの?」
「私の知らないところで、どれだけ多くの爆弾を抱えているの?」
スマホを手に取れば、無機質な医学用語ばかりが画面に並び、調べれば調べるほど、不安という名の迷路に迷い込んでいく。
次々に増えていく「知らない病名」の数だけ、私たちは親としての自信を失い、ただただ戸惑いの中にいました。
でも、ふと目の前の我が子を見ると、
病名なんて知らないかのように、一生懸命に呼吸をし、小さな指を動かしている。
「病名」は、先生たちが治療するために必要な記号。
でも、この子の本当の名前は、私たちが名付けた、たった一つの名前。
増えていく漢字の羅列に怯えるのを、一度やめてみようと思いました。
まずは、名前すら知らなかったこの子の「心臓の頑張り」を、そのまま受け止めることから始めました。
1. 大動脈縮窄症(だいどうみゃくしゅくさくしょう)
「メインのホースが細くなっている状態」
心臓から全身へ血液を送り出す一番太い血管(大動脈)の一部が、キュッと狭くなっています。
心臓は全身に血を届けようと、ものすごい力で踏ん張ってポンプを動かさなければなりません。この子の心臓は、毎日全力疾走をしているような状態でした。
2. 心室中隔欠損症(しんしつちゅうかくけっそんしょう)
「心臓の壁にある、小さな抜け穴」
心臓の右と左を仕切る壁に穴が開いています。
本来なら全身に行くはずの「きれいな血液」が、その穴から肺の方へ漏れ戻ってしまいます。無駄な血流のせいで、心臓と肺はいつも「定員オーバー」の過労状態になります。
3. 肺高血圧症(はいこうけつあつしょう)
「肺のホースがパンパンに張っている状態」
心室中隔欠損の穴から肺へ、大量の血液がドバドバと流れ込み続けます。
そのせいで肺の血管の圧力が上がり、血管がパンパンに張って硬くなってしまうのが肺高血圧です。
